日. 4月 27th, 2025
ライオン・キング:ムファサ

ディズニーの超実写映画『ライオン・キング:ムファサ』が、2025年4月9日より日本のDisney+で見放題独占配信を開始しました。

本作は、シンバの父・ムファサの知られざる過去を描いたスピンオフ作品で、彼がどのようにして“偉大なる王”となったのか、そして兄・スカーとの複雑な関係性が壮大な映像美と共に紐解かれていきます。​

監督は『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスが務め、深みのあるストーリーテリングにも期待が集まりました。​


  • タイトル:​ライオン・キング:ムファサ
  • 配信開始日:​2025年4月9日
  • 配信プラットフォーム:​Disney+(ディズニープラス)
  • ジャンル:​ドラマ、アクション、アドベンチャー、青春、ミュージカル
  • 上映時間:​2時間4分
  • 監督:​バリー・ジェンキンス
  • キャスト:​アーロン・ピエール、ケルヴィン・ハリソン・Jr.、セス・ローゲン、ビリー・アイクナー、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ジョン・カニ

    あらすじ
    息子シンバを命がけで守ったムファサ王。かつて孤児だったムファサの運命を変えたのは、後に彼の命を奪うスカーとの出会いだった。両親を亡くしひとりさまよっていた幼き日のムファサは、王家の血を引く思いやりに満ちたライオン、タカ(後のスカー)に救われる。血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれたムファサとタカは、冷酷な敵ライオンから群れを守るため、新天地を目指してアフリカ横断の旅に出る。

1. 若きムファサとスカーの兄弟ドラマ

『ライオン・キング』には、まだ語られていない謎があります。それは、シンバの父ムファサと、その弟スカーとの過去と因縁です。この兄弟の物語を見ることで、『ライオン・キング』という作品が真に完成すると言っても過言ではありません。

スカーがなぜあれほどの嫉妬と怒りを抱くようになったのか──その背景にある心の闇が丁寧に描かれており、単なる悪役ではない“人間味”を持ったキャラクターとして描写されています。

2人が初めて出会ったのは、ムファサが両親とはぐれて1人になってしまった時のこと。この時ムファサを助けたのが、実はスカー(本作では「タカ」という名で登場)だったのです。タカは王家の息子として生まれ、王となる運命を背負っていました。

その後、2人は兄弟のように育ちますが、実際には血のつながった兄弟ではありません。また、子供の頃のタカは性格が歪んでいたわけではなく、どこにでもいるかわいらしい子供として描かれています。

しかし、タカには王となるために必要な「勇気」が欠けていました。家族が危機に陥った際に、勇気を持って助けに行ったのはムファサ。その後、タカの父は王家の血を絶やさないために彼に逃げるよう命じ、ムファサに同行を託します。

逃亡の途中で出会ったのが、後にムファサの妻となるサラビ。タカはサラビに恋をしますが、皆さんご存じの通り、その恋は実りません。そしてこの出来事が、ムファサに裏切られたと感じたタカを“スカー”という存在へと突き動かすきっかけとなっていくのです…。

また注目したいのは、『ライオン・キング』で断崖を登るムファサをスカーが突き落とすあの名シーン。本作でも似た場面が登場し、スカーの心情が繊細に描かれます。彼がなぜあのようになってしまったのか──その理由が本作で明らかになるのです。

2. 圧倒的なビジュアルと音楽

映像はまさに圧巻の一言。サバンナの風景や動物たちの質感、空気感に至るまでリアルに再現されており、まるでドキュメンタリーを観ているかのような没入感があります。

そして音楽もまた大きな魅力です。前作に引き続き、ハンス・ジマーが音楽監修を担当。壮大で感情を揺さぶるスコアが映像と完璧にマッチしています。さらに、ビヨンセやファレル・ウィリアムスといった豪華アーティストの新曲も物語に華やかさを添えています。

1. ストーリー展開の既視感

本作は前日譚であるため、どうしても『ライオン・キング』という本編の存在を前提とした展開になりがちです。すでに結末を知っている観客にとっては、物語の驚きや緊張感が薄く、「やっぱりこうなるのか」と予想できてしまうのは否めません。

また、ムファサが両親とはぐれてタカに助けられるシーンは、シンバがティモンたちに助けられる場面と重なるようですし、サラビとムファサ、スカーの三者の関係は、シンバとナラの関係に似ています。物語の構造や展開が似ているため、どこか新鮮味や緊迫感に欠けた印象も受けました。

とはいえ、本作を先に観てから1作目を見ると、ストーリーがきれいにつながる楽しさがあるかもしれません。

2. タカがスカーになる過程が強引?

物語が進むにつれ、タカのムファサに対する劣等感が徐々に強くなっていきます。決定的だったのは、ムファサとサラビが恋仲になる場面。もともとタカの恋を応援していたムファサが、サラビと親しくなる姿を偶然目撃したタカは、ムファサに裏切られたと感じます。

このシーンがなくても、タカは劣等感に苛まれていずれムファサを裏切っていたかもしれません。しかし、「恋敵になったから裏切る」という流れには、やや安易さが感じられました。

『ライオン・キング』でもスカーがかつてサラビに想いを寄せていたことをほのめかす場面がありましたが、私は思わず「それだけで!?」と驚いてしまいました。さらに、裏切りの方法もどこか中途半端で、最終的にはムファサを助けるという展開に──。

この物語の流れであれば、タカが必死に謝罪し、ムファサがそれを受け入れる…という結末でも良かったのではないかと感じます。ムファサがタカを追放しなかったのは優しさゆえかもしれませんが、「最も温かく切ない“兄弟の絆”」という宣伝文句に対しては、やや疑問が残りました。

『ライオン・キング:ムファサ』は、ムファサとスカーの幼少期に何があったのか、今まで明かされてこなかった謎を紐解く作品です。本当の兄弟ではない二匹がどのように絆を築き、そしてどうして別れの道を歩んだのか──前作では描かれなかったスカーの葛藤にも迫ります。

ただし、前作の持つ神話的な魅力を超えるかというと、少し物足りなさも感じられました。ストーリー展開の既視感や強引な部分が、私としてはやや引っ掛かりました。

とはいえ、映像や音楽は非常に美しく、特に子供たちはそのビジュアルと分かりやすいストーリー展開に引き込まれることでしょう。まだ『ライオン・キング』を観たことがない方には、本作を先に観てから1作目を観るという順番もおすすめです。ストーリーの繋がりをより深く味わえると思います。

特に、まだ『ライオン・キング』を見たことがない方であれば、『ライオン・キング:ムファサ』→『ライオン・キング』の順で見ると、ストーリーが綺麗に繋がりいいと思います。​

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